突然の出向命令!ショックを和らげるための3つのステップ

仕事関係(全般)
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 会社からの辞令にて、子会社等への出向命令を受けたとき、多くの人がショックを受け、左遷されたような気持ちになります。このような突然の変化は、不安や焦りを引き起こす上、そのような状態のまま出向先で仕事をするのは、良くありません。

 本記事では、私自身の子会社での3年間の出向経験を踏まえ、出向に対するネガティブな感情を克服し、前向きに対応するための具体的な解決策をお伝えします。解決策を知り、実行することで、出向を新たなチャンスと捉え、キャリアアップに繋げることができます。

問題点を整理する

 突然の出向命令に対して、以下のような問題を抱えているのではないでしょうか?

出向」=「左遷」というネガティブなイメージ

 大手銀行を舞台にした某ドラマにて、「出向」=「片道切符」(本体には戻れない)と紹介されていたが故に、「左遷」のイメージが強いのではないでしょうか。

新しい環境への不安やストレス

 今までは同じ会社に所属する社員と仕事をしてきましたが、子会社とは言え、他会社の社員とともに仕事をすることになります。明らかにご自身を見る眼差しが違います。

キャリアに対する不安

 今後、本体(出向元)に戻ることは出来るのだろうか。仮に戻れたとしても、やりがいのない部署に異動になってしまうのではないか、という不安も出てくると思います。

 本記事では、これらの問題を解決するための具体的な方法を3つのステップで紹介します。これにより、出向をポジティブに捉え、自己成長の機会とすることができます。

(ステップ1)出向の本質を理解する

 出向は必ずしも左遷ではありません。企業が社員を出向させる理由は多岐にわたります。その背景を理解することで、出向の本質を捉え、ネガティブなイメージを払拭できます。

企業の戦略的意図

 企業は人材育成や組織の強化を目的に出向を行います。特に、管理職や将来のリーダー候補に対しては、多様な経験を積ませるために出向を命じることがあります。これにより、社員が幅広い視野を持ち、組織全体のバランスを取れるようになります。

 たとえば、ある企業では将来の経営幹部候補を他部署や関連会社に出向させ、経営のノウハウを学ばせることがあります。このような戦略的意図を理解することで、出向の意義を前向きに捉えることができます。

スキルアップの機会

 新しい環境での仕事は、異なるスキルや知識を身に付ける絶好のチャンスです。出向先での業務内容は、これまでの職務とは異なる場合が多く、新しいスキルを習得する機会となります。例えば、マーケティング部門から経理部門に出向することで、財務の知識や管理会計のスキルを身に付けることができます。

 これにより、自分の市場価値が高まり、将来的にはより多くのキャリアパスを選択できるようになります。スキルアップは長期的なキャリア形成において非常に重要な要素です。

人脈の拡大

 出向を通じて、他部署や他企業のスタッフとネットワークを築くことができます。これらの人脈は、将来のキャリアにおいて大いに役立ちます。新しい環境で築いた人間関係は、将来的に協力関係を築くための重要なリソースとなります。

 例えば、新規プロジェクトの立ち上げ時に、出向先で知り合った人脈を活用して、スムーズにプロジェクトを進めることができます。人脈はビジネスの成功に直結する重要な要素です。

 私は40歳で子会社に3年間出向しました。定期異動の時期が近づいてきた際、「次はどの部署に異動になるのだろうかな?」と思っていた矢先、当時の上司から、社員名簿ではなく関係会社名簿を見せられた時には、大きなショックを感じました。

 しかし、その子会社は本体と同じ事業を行う会社であり、その子会社では部署のナンバー2という立場で仕事をさせていただくことで、本体では30年かけてジョブローテーションをしても学びきれない内容を、僅か3年で多岐に渡る仕事を学びとることが出来ました

 また、出向先にはその会社で採用された社員(正社員もしくはプロパー社員と呼びます)とも交流を深めることができ、仕事が出来る人が多く、彼らからも多くを学ぶことが出来ました。

 出向が左遷と感じられる背景には、情報不足や誤解があります。出向の本質を理解することで、そのイメージを改善しましょう。

(ステップ2)新しい環境に適応する

 新しい環境に適応するためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。

事前準備

 出向先の業務内容や企業文化について事前にリサーチしましょう。予備知識があると、初日からスムーズに業務に取り組むことができます。例えば、出向先の主要なプロジェクトや、使用するシステム、会社のルール、プロパー社員の特徴などを事前に確認しておくと良いでしょう。

 特に子会社については、幹部の方々をはじめ、配属先には同じ出向社員が在籍している場合が多々あります。業務引継等で訪問した際に、事前に疑問点を聞いておき、不安を解消しておきましょう。

 配属までに私が不安に感じていたことは、「プロパー社員との接し方」や「彼らの出向社員に対する眼差しがどのようなものか」でした。特に、プロパー社員は出向社員とは給与などの待遇面が異なる上、出向社員の多くが威張っていえる上、仕事が出来ない社員であった場合、彼らの不満は相当にたまっているだろうと思ったからです。

積極的なコミュニケーション

 新しい環境では、積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。自己紹介や挨拶を通じて、早期に信頼関係を築きましょう。例えば、初対面の際には、明るい笑顔とともに自分の名前と出向先における抱負を述べ、相手の名前や役職も確認しましょう。

 また、ランチタイムや休憩時間を利用してカジュアルな会話をすることも有効です。出向先でのチームメンバーと積極的にコミュニケーションを図ることで、職場の雰囲気に早く馴染むことができます。まずは、気軽にプライベートや趣味の話などをするのが良いと思います。

柔軟な対応

 出向先では、従来のやり方が通用しないこともあります。柔軟な思考と対応力を持って、新しいやり方を学びましょう。例えば、プロジェクトの進め方や報告の仕方が異なる場合、まずは現地の方法を理解し、その上で自分の経験を活かして改善提案をする姿勢が求められます。

 つまり、「常に教わる」という姿勢が大切です。出向社員でありがちなのが、プライドが高いため「俺は親会社出身であり、『親会社のやり方』=『俺のやり方』が正しいから、俺の言うことを聞け」というスタンスです。これは言葉に出さなくでも自然に態度に出てしまうことが多く、プロパー社員にも見透かされるため、注意が必要です。

 また、文化や価値観の違いにも柔軟に対応することが重要です。異なる考え方を尊重し、柔軟に対応することで、信頼関係を築きやすくなります。 適応力は、どのような環境でも成功するための鍵です。積極的に行動し、新しい環境に迅速に適応することで、不安を払拭し、業務に集中できます。

(ステップ3)自己成長の機会として捉える

 出向を自己成長の機会として捉えることで、前向きな心構えを持つことができます。

目標設定

 出向期間中に達成したい目標を設定しましょう。具体的な目標があると、モチベーションを維持しやすくなります。例えば、「新しいスキルを3つ習得する」や「重要なプロジェクトでリーダーシップを発揮する」など、具体的かつ達成可能な目標を設定します。

 私の場合、着任直後は、業務が多岐に渡る上、優先順位をつけるのに苦労しました。「緊急度」及び「重要度」マトリックスの考えで、これを外すと安全を脅かす事象であったり、お客様にご迷惑をおかけしてしまう事象などを最優先に取り組むとともに、過去の負の遺産や誤った取り扱いについては、日数をかけて是正しました。

自己評価とフィードバック

 定期的に自己評価を行い、上司や同僚からフィードバックをもらいましょう。これにより、自身の取り組みについて方向性が正しいか否か、また自分の成長を実感できます。自己評価の際には、自分の強みと改善点を明確にし、それに基づいて次の行動計画を立てることが重要です。

 私は、上司よりも部下であるプロパー社員から積極的に意見を求めました。プロパー社員は出向社員に対しては例え誤りがあっても指摘をしてくれません。私はその状態が良くない、むしろ怖いと感じていましたので、部下たちには耳にタコが出来るほど「私の考えややり方が間違っていたら遠慮なく指摘してほしい」と言い続けてきました。

 フィードバックは自己成長のための貴重な情報源です。定期的にフィードバックを求め、改善点を積極的に取り入れることで、自分のスキルやパフォーマンスを向上させることができます。

学びの姿勢

 出向先で得られる知識やスキルは、自分のキャリアにとって大きな財産です。常に学びの姿勢を持ち、自己成長を追求しましょう。例えば、新しい業務に取り組む際には、関連する書籍やオンラインコースを活用して知識を深めると良いでしょう。

 例えば新しい業務の中でも、出向先は小規模な組織であることが多いため、役職者でも自ら社外の巡回や日程調整といった雑用など、大企業では担当者が行う実務をこなす必要があります。こういった実務においても真剣に取り組むことで、現場の問題点が見えるなど、メリットは多くあります

 出向をポジティブに捉えることで、自己成長に繋がる経験を得られます。この姿勢を持つことで、どんな環境でも成功を収めることができます。

まとめ

 私の3年間の出向期間を振り返ってみて、大変なこともありましたが、非常に充実した内容でした。本体で30年かけて学べるか否かの業務経験を僅か3年で学びとれたのは、自分にとって大きな自信となり、アドバンテージがあると感じています。実際に本体に戻ってみて、「パーツの(部分的な)仕事しか知らない社員」や「部下にお膳立てばかり求める役職者」が良くも悪くも目立って見えてきます。手前味噌で恐縮ですが、自分が俯瞰的な視点に立てるようになったと言えると思います。

 突然の出向命令は、ショックを受ける出来事かもしれません。しかし、出向の本質を理解し、新しい環境に適応し、自己成長の機会として捉えることで、そのネガティブなイメージを払拭し、前向きに対応することができます。今回紹介した3つのステップを実践し、出向を自己成長のチャンスと捉えることで、より充実したキャリアを築きましょう。

 具体的な行動に移すためには、まずは出向に対するネガティブな感情を整理し、今回紹介したステップを順に実践してみてください。そして、新しい環境での経験を通じて、自己成長を追求し続けましょう。これにより、出向があなたのキャリアにおいて大きなプラスとなることを実感できるはずです。

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